2008年8月、印象深い出来事がありました。病院の屋上緑化にあたり、せっかくだからと、併設のデイケアに来られる方々と野菜を植えることにしました。その収穫の日、普段は緩慢な動作の 方々が、しゃがんで枝の下の作物を取ろうとして腕を伸ばすときの動きの素早さ、作物を手にしたときの目のキラキラ感と笑顔。野菜や果実を育て、収穫すると人は元気になるという強い手応えを園芸療法に感じました。その効果は、数量認知能力の改善に効果をもたらし、認知症の進行予防、そして改善にも効果があることをしめしました。
そして、すでに効果が知られている森林療法(森林散策)と園芸療法を組み合わせてさらなる相乗効果を期待して認知症予防法を考案し、『里山療法』へとつながりました。
~1つめの魔法~
ガーデニングの本番、イギリスのロンドンにあるロイヤルホスピタルで暮らすご高齢の方々の生き生きとした姿にヒントを得て、ポタジェと名付けた菜園をガーデンの一角に設けました。
そして、その菜園は、里山療法を受ける方々の手によって毎日進化を続けます。
~2つめの魔法~
地元長崎出身の世界的ガーデナーである石原和幸氏にプロデュースを依頼、広い敷地に丘陵の傾斜を利用して小川を造り、奥行きがあって誰もが懐かしい気持ちなる、里山を再現しました。その里山には、たくさんの生き物が遊びにやってきます。
~3つめの魔法~
プロデュースを依頼した石原氏の紹介で、ダイアナ妃が眠る故郷、オルソープにあるスペンサー伯爵家のガーデンを見せていただくことができました。そこには、ダイアナ妃の結婚式のブーケにも使われた、美しく可憐なスイートピーがありました。このスペンサー家由来のスイートピーの種を頂き、このガーデンに、オルソープガーデンの名前を頂いたのです。